最近読了した本のレビュー

さて、こういうアウトプットしないとね、俺のレゾンデトールにかかわるので。
といっても、読んでるときに気になった部分を単純にここにペタッて貼るだけだけどね。

まずは

野口吉昭「コンサルタントの『質問力』」PHPビジネス新書

(コンサルをするときに)特に相手が専門家の場合はそうだが、深い質問ができるがどうかによって、「こいつはできる」「こいつはダメ」と、自分のレベルが測られてしまうことがある。鋭い質問や深い質問は、「おっ、彼はモノを見る力がある人間だな」というちょっとした感動を相手にもたらす。逆に凡庸な質問は、「なんだ、この程度か」という失望を相手に与える。(p33)


(医療現場において、患者の症状に関する話だけではなく、症状に伴う自分の物語を積極的に聴く「ナラティブ・ベイスト・メディスン」を例にとって)医師がカルテを書くように、ビジネスパーソンも商談や打ち合わせでの決定事項、検討事項をノートにメモすることは多い。しかし上司や部下、顧客のナラティブなレベルの語りにまで耳を傾け、メモしている人はほとんどいないのではないだろうか。もちろんあらゆる情報をすべてノートに書き込むことは不可能ではある。けれども相手が、どこか気になるしぐさや表情、あるいは私生活が垣間見える発言をしたときにそれを書きとめておくことは、質問力を高めるうえでけっしてムダなことではない。(p58)


(空気を読むことについて)ザ・リッツ・カールトンホテルや洞爺湖ウィンザーホテルといったプレステージ・ホテルのホテルマンになるともっとすごい。彼らは「ホテルマンたるもの、お客様から道を聞かれたら負け」「お客様から水がほしいと言われたら負け」」という厳しい世界を生きている。客の細かな目の動き、息の仕方、表情のちょっとした変化、くちびるの動き、まぶたの閉じる速度と感覚、話すスピード……。これらを微妙に感じとる感性をいつもフルに働かせている。そして「水をください」と客から言われる前に、こちらから「お客様、冷たいお水はいかがでしょうか」と空気を読んだ質問ができる。これこそ究極の質問力と言えるだろう。(p60 ちなみにこの後に書いてあるマンガ『ソムリエ』の中に出てくるシーンのお話とかもinterestでしたね。)


(インタビューについて)仮説をしっかり立てておけば、インタビューは単なる情報収集の場ではなく、仮説を検証する場となる。私は自分が立てた仮説がセカンドオピニオンの医師によって認められたことによって、心の中に明確な治療方針を確立することができた。また仮説を立てたことで質問の的が絞れたから、その分この医師から得られた情報も深いものになった。質問力を磨きたいなら、仮説を立てるための事前リサーチは絶対おろそかにしてはいけないプロセスである。(p81)


(インタビューの質問事項を決定する際に)このインタビューのテーマ、質問項目づくりをするときにも蝶ネクタイチャートが活用できる。まずは「今回はこの相手からなにが聞きたいか」「なにが聞けそうか」を洗い出す。そして洗い出した項目をボトムアップ型のロジックツリーによって共通項で結んでいるうちに、ある一つの結論にまとまる。それが今回のインタビューの主テーマであり、主目的である。「今回のインタビューのテーマは○○である」という仮説を立てたら、そのテーマを聞き出すための具体的な質問事項を考える。これはブレイクダウン型のロジックツリーを使っておこなう。ボトムアップ型ツリーで質問したい内容(テーマ群)を整理して主テーマを明確にし、ブレイクダウン型ツリーで質問設計をするのである。これによって限られたインタビュー時間の中で焦点を絞った質問ができ、かつモレがなくなるわけだ。こうして「質問ツリー」ができあがる。(pp85-86)


(コンサルをするときに、相手の現状を把握してから質問をしなければいけないという例について)コンサルタントは事業や商品の内情について、いろいろと突っ込んだ質問をしてくる。しかし意図が十分に伝わっていなければ、現場責任者が「なんであなたにそんなことまで話さなくてはいけないんだ」という思いを抱くのは、ある意味当然のことと言える。(p94)


(インタビューのテーマに対する知識がないほど、うまくインタビューができるというのの例として、為末大のインタビューから)本来は柔軟な思考の持ち主でも、少しでも情報を軽視したり、先入観に囚われたり、慢心した瞬間に、頭の堅い人物に変身します。正しい方法を探りだすことは大切ですが、『これで間違いない』と思ったときから、敗北は始まっている。常に現実を見据え、考えつ耽る努力をしている人だけが、柔軟な思考を持ち続けられる……『文蔵』2007年4月号(PHP文庫)(pp99-100)


(上と同様のテーマで、アメリカを代表する名キャスター、ラリー・キングが)彼は「もっとも優れたインタビューができるのは、そのテーマに対する知識がないときだ」といった主旨のことを述べている。これは「無知の方が良いインタビューができる」という意味ではない。彼のように約半世紀にもわたって報道の第一線で働いていると、どんな話題が来ても一定の予備知識がある。その予備知識をいったんカッコに括って、純粋な知的好奇心から相手と向き合えたときに、本当に良いインタビューができるということだ。(p100)


(インタビューの相手に喋らせる呼び水のやりかたについて)相手の好奇心を引き出すための、あるいは相手に新たな気づきをもたらすための呼び水となる質問をするためには、相手が今いる立ち位置よりも、一歩先の質問をすることである。あまりに先に行きすぎても質問は失敗するし、基本の基すぎてもダメである。ホンダの藤沢武夫の言葉、「三歩先を読み、二歩先を語り、一歩先を照らす」という妙が重要だ。(中略)相手の好奇心を引き出すためには、相手が立ってる位置の一歩先の質問をすることが大事。もちろん立っている位置そのものについての質問でも、相手は気持ちを込めて話してくれるかもしれない。しかし相手に気づきをもたらしたいなら、一歩先の質問をする必要がある。(pp112-114)


(質問のテクニックの一つとして)また厳しく鋭い質問を続けた後に、ふっとやさしい言葉を投げかけてみる。すると相手はくらっと心が揺らいで、つい本音を喋る。犯人を自白させるのに長けた老練な刑事のようなそんなテクニックも、ぜひ磨いておきたいものだ。(p153)


(表現力を豊かにすることで、微妙だが本質的な違いが疎通できるように)NTTコミュニケーション科学基礎研究所が「語彙数推定テスト」というテストを開発して、ネットで公開している(http://www.kecl.ntt.co.jp/mtg/goitokusei/goi-test.html)。このテストは、画面に表示された単語のうち知っている単語をチェックすると、その結果から、自分が日本語を何語知っているか推定語彙数が表示されるというもの。その結果によって、小学生レベル、中学生レベル、高校生レベル、大学生レベルなど自分のレベルがわかるのだが、あなたが社会人であれば、最低限大学生レベルには達しておきたいところ。さらにここまで話してきたような「本質を探求するための語彙数」を身につけたいのなら、その上を目指したいとこだ。(pp160-161)


(質問をできるだけ短く、純度を高くするために「言葉のひげ」をなくすために)接続詞でつなぐことができないというのは、論理がうまく構成できていないということである。つまり、話の内容があっちこっちに飛んだ構成になっているということである。論理的でわかりやすい話し方をするうえで、接続詞は命とも言える。(中略)本質のみで構成された研ぎ澄まされたプレゼンテーションは、接続詞できれいにつなぐことができる内容になっているものだ。(pp168-169)


フレームワークについて)フレームワークは、質問する際の地図であり、将棋盤なのだ。(p179)


(コンサルをする際には、その会社の理念を含めるとよいという例の後に)血の通った理念と、自分たちの存在意義を知っている会社は強い。コンサルタントが提案した戦略目標や行動計画を、強い意思を持ってやり遂げる力がある。そこまでコミットメントできたとき、コンサルタントの質問は、ようやく完結する。(pp204-205)


以上、改行任意および漢数字は一部算用数字に改めた

サン=テグジュペリ「The Little Prince(星の王子さま)」ラダーシリーズ IBCパブリッシング

まぁお話なので、これと言って千切ったところはないんですが、ひとつ:

(信号守が、旅行者を動かしているというというのを聞いて、星の王子さまが信号守に質問するシーン)
"Those people were not happy where they were?"
"People are never happy in the place where they are," answered the signalman.
(p92)

コンサルタントの「質問力」 (PHPビジネス新書)

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星の王子さま The Little Prince (ラダーシリーズ Level 2)

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