デザインの意義、「3不」による観察(田中央「デザイン論」岩波書店)

この本を借りたのは土曜だったかな、借りたのはいいけどまともに読んでなかったので、目に付いたとこだけ早いところまとめちゃおうと思いまして。今年は秋休みもゆっくり出来そうにないしね。

デザインの意義

上記の本の中で挙げられている、デザインが持つべき性能を自分なりに解釈しつつまとめてみます。

  1. 実用性:ある目的のために作られること。目的に応じて機能を細分化・専門化することもあるが、汎用性とのバランスも考えなくてはならない。
  2. 審美性:目的が達成されることが前提で、なお美しい外見をしていなければならない。しかし、いたずらに装飾すればいいというわけでもなく、機能を害さない程度に美しさを補う方法から、機能の発揮に特化することにより機能美という形で審美性を持たせる方法もある。>>美しさは, 文化をつくるための基礎的な感動を呼び起こすものであり, 地域や民族の特性を築いてゆく重要な要素のひとつでもある. (p15)<<
  3. 独創性:デザインは常に新しさを提供しなければならない。しかし、単に新奇性を有していればいいというわけでもなく、利用者の伝統的な生活空間を破壊するようなデザインはいけない。新奇性の保持と伝統の遵守とのバランスが大事である。
  4. 操作性:利用者が人間である以上、ヒューマンファクターを考慮したデザインが求められている。機器の内部の複雑さや難解さを理由に、インタフェースの使いやすさを蔑ろにしてはいけない。
  5. 安全性:道具は人間にとって危険であってはならない。経済性を理由に安全性を放棄してはならず、たとえ安全性が十分であても、注意喚起を止めてしまってはいけない。
  6. 経済性:最近の傾向として、要求される価格と品質を満たすことができるデザイン求められることがある。価格や品質の制約のために、デザインを怠ってはいけない。
  7. 秩序性:デザインによって秩序を生みだすことができる。上にあげた6つの性能のバランスを考えて、融合し調和させることもデザイナーの仕事である。

「3不」による観察

ちょっと引用させていただきます。ちょっとじゃないけど。

 ものごとを観察するにあたって, その引き金をなすことに3不というものがある. 「3不」とは, 不安, 不満, 不思議の頭文字をとって作った言葉である. 人は, 毎日の生活を送る中で, すべてのことに満足できるわけではない. 困ったこと, 不満に終わること, 納得できないことが起こるものである. そうしたときは, 諦めたり妥協して, 心の中で辻褄を合わせて, 気持ちを整理したり我慢して自分に納得させている. かといって, すべてにたいして堪え忍んでばかりでは, とても生きていけない. ほどよく, 満足⇔不満足, 不安⇔安心を切りかえていく必要がある. 不安, 不満, 不思議の「3不」をもつことは, 逆に安心, 満足, 納得を得るための発想を得るきっかけをつかむことに等しい. こう考えることが重要である. (pp65-66)

大学で工程の効率化をはかるさいに着目する「3ム」(ムダ・ムリ・ムラ)については教わりましたが、それと似てるのでちょっと気に入りました。「3ム」についてはググってみたらこちら(手帳の達人「3ム」 http://blogs.yahoo.co.jp/mbabinder/54748632.html)に例示付きでまとまっているので、参考にしてください。

デザイン論 (シリーズ現代工学入門)

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