ラテン語語尾変化まとめ

ラテン語の語尾変化が覚えられなくて洒落にならないので、一回テキストを離れて語尾変化をまとめられるだけまとめようかなと。まぁただ単に大学の研究に飽きたから頭と手の慰めなんですけどね。

第一活用amāre 現在 未完了過去 未来 完了 過去完了 前未来
一人称単数 amō amābam amābō amāvī amāveram
ニ人称単数 amās amābās amābis amāvistī amāverās
三人称単数 amat amābat amābit amāvit amāverat
一人称複数 amāmus amābāmus amābimus amāvimus amāverāmus
ニ人称複数 amātis amābātis amābitis amāvistis amāverātis
三人称複数 amant amābant amābunt amāvērunt amāverant
第ニ活用monēre 現在 未完了過去 未来 完了 過去完了 前未来
一人称単数 moneō monēbam monēbō monuī monueram
ニ人称単数 monēs monēbās monēbis monuistī monuerās
三人称単数 monet monēbat monēbit monuit monuerat
一人称複数 monēmus monēbāmus monēbimus monuimus monuerāmus
ニ人称複数 monētis monēbātis monēbitis monuistis monuerātis
三人称複数 monent monēbant monēbunt monuērunt monuerant
不規則活用esse 現在 未完了過去 未来 完了 過去完了 前未来
一人称単数 sum eram erō fuī fueram
ニ人称単数 es erās eris fuistī fuerās
三人称単数 est erat erit fuit fuerat
一人称複数 sumus erāmus erimus fuimus fuerāmus
ニ人称複数 estis erātis eritis fuistis fuerātis
三人称複数 sunt erant erunt fuērunt fuerant
不規則活用īre 現在 未完了過去 未来 完了 過去完了 前未来
一人称単数 ībam ībō ieram
ニ人称単数 īs ībās ībis īstī ierās
三人称単数 it ībat ībit iit ierat
一人称複数 īmus ībāmus ībimus iimus ierāmus
ニ人称複数 ītis ībātis ībitis īstis ierātis
三人称複数 eunt ībant ībunt iērunt ierant

※一応言っておきますが、私は決して言語学者ではありません。太字にしてるのは「凡そ共通している」という意味合いでそうしているのであり、所謂文法学的に言うところの「語幹」を意味しているつもりは全く無いのであしからず。それ以外の斜体などの修飾も、全部私の「なんとなく」でやってるだけです。

と、まぁ基本をずらって書いてみましたが、書いてて色々思うことが:

  • 規則活用だろうと不規則活用だろうと、人称を表す部分は変わらない。三人称複数未来や二人称複数完了、三人称複数完了に例外はありますが、「例外の例外」はない。
  • 三人称単数-tや三人称複数-ntの直前にある母音はどうしても長母音にしたくないらしい。どれを見ても絶対に短母音に変化している。

あと、時制*が日本語に似てるのかなって、「終わってる」のか「終わってない」のか、つまり、「完了」か「非完了」か。日本語の文法を形式だてて学習したことのない多くの日本人にとって、初めて文法を形式だてて学習するのが英語であるために、時制*と聞くと鸚鵡のように「過去・現在・未来」って言ったりするんですけど、日本語にはこの「時制」っていうものは存在しません。日本語には「相」と「態」しかありません(「法」もないですよね)。あ、いきなり「相」「態」「法」とか言ってしまって混乱している方もいるかも知れませんので、1つ1つ説明します。

  • 時制:その行為がいつ行われたか。時間の流れを基準として、今なのか、今より前なのか、今より後なのか。ヨーロッパの言語に見られる「現在」「過去」「未来」というのはこれのこと。印欧語族全般に備わってるのかどうかはちょっと知りません、スイマセン不勉強で。
  • 相:その行為がどのような状態なのか。やっているところなのか、そうでないなら、始めたところなのか、終わるところなのか、やっているところでも、それを継続的にやっているのかどうか、というのがこの「相」です。英語の「have+動詞の原形」は文法上の名称としては「完了」と呼んでいますが、その実意味しているのは完了だけでなく、継続や経験も担っていますね。中国語は比較的この相(アスペクト)が発展していると思います。
  • 態:その行為をどの立場から述べるか。基本的には英語と同じ能動態と受動態しかありませんが、言語によってはこの2つ以外の態もあるらしいですよ。
  • 法:その行為について発話者がどう思っているか。単純に自分がそれを述べたいのか、自分以外がそのことを述べているのか、自分がそれを述べるにしても、命令口調なのか、お願いなのか、願望なのか。実際に起きるのか、起きないのか、まだわからないのかというのも、この法が担っています。

で、なんでしたっけ、そうそう、ラテン語の時制*なんですけど、日本語と似てるっていうのはちょっと誤謬ですね、文法的に丁寧に言うと、日本語なみに、相を重要視してるのかな、と、そういうことです。時制と相をまとめて「時制*」って最初口走ったのは、日本人の多くが「相って何さ?」と考えていると思って、そう行ってしまったのであってですね、まぁ言い訳はこの辺で。混乱するといけないので、文法的に言う「時制」と同じ意味じゃなくて、時制、相、態、法をまとめて便宜的に「時制*」と呼んでいるものには「*」を付けておきました。
なので、ラテン語のこの6つの時制・相なんですが、